今日も基本、反省会

アラサー独身の少しオタク気味の日々のことを、日記代わりに。

ギリギリ入稿でもなんとかオシャレっぽい同人誌にする〜タイトル編

(長いです。同人誌のタイトル、短い時間でどうやって考えるか、の私なりのひねり出し方をまとめました)

 

さて、私はものを言いたいオタクなので、同人誌を書いている。小説の。二次創作の。どういうジャンル、というのは瑣末な問題で、とにかく俺が考えた最強かつ素敵な男の子同士の素敵な恋愛を認め、印刷し、心の広い同士の方に読んでいただいています。

 

この文章を読んでいる方で、同人誌を知らない、という人はあまりいないかもしれない。(いたらごめんなさい)ただ、描いたこと(書いたこと)はない人は結構多いかもしれないので、ぜひご注意いただきたいのが同人を書く人種にはふた通りいます、ということ。

それは、

 

締め切りを余裕で守る人種か、締め切りギリギリで入稿する人種、です。

(異論は認める)

 

 

もちろんこの中にも色々なタイプがいて、余裕どころか毎回早割特殊印刷盛り盛りの方から、ギリギリどころか割増入稿当たり前それどころか締め切りを過ぎ、印刷会社の方に頭を下げ猶予をいただきなんとか入稿する大馬鹿野郎もいます。私です。

(本当に反省してるのよ・・・)

 

で、私は小説なので漫画の方とはちょっと違うと思うのですが、中身はね、なんとかなるんですよ。明けない夜はない。だいたい分速80文字(なんだこの単位)くらい書けば、1時間後にはなんと4800文字!!と、いうことはほら24時間描き続ければ・・・毎回こんな皮算用ばっかりしてるから遅れるんだな。ともかくキーボードを叩きつければ「何かしら」は印刷された中身が出来上がります。もちろん超、超、極論だけども!最低な話です!!愛はあるんです、ただ、圧倒的に計画性がないだけで!!

 

でもね、最後の最後に立ちはだかるのが、「タイトル」と「表紙」なんですな。なんとか書いた。とにかく二人がくっついた。オーケー、じゃあ、このお話はなんというタイトルにしようかしらん。

 

 

この時点で、もう、締め切り(割増入稿)2時間前。

 

いや、この時点で表紙もできとらんのかい、というツッコミは、やめてくだされ・・・。自分が一番わかってる。この瞬間脳内を駆け巡るのは、突発で女友達の飲んでしまったあの夜、ツイッターでなんとなく見つけた漫画が面白くてずーっと読んでしまった夜。原稿やるぞ!と思ったカフェで結局ファッション誌見ながらケーキ食べて終わったあの土曜日。あの日あの時あの場所で原稿を書いていたら出会わなかったんだ割増入稿・・・でも、今、私には時間がない!!!これが、事実!!

 

というわけで、とにかく、とにかくタイトルである。(もちろんタイトルを決めてから書き出す方も多いと思うので、そういった方はこの悩みは無縁だと思う)どうせだったら二人の愛を飾るにふさわしい、「オシャンな」タイトルにしたい!バッカヤローなんでもいいから入稿しろ!!というヤジ(と印刷会社さんの呪詛)を聞き流しつつ、毎回必死で考える。でも焦ってると、いいのが出てこないんだなあ。とりあえず付けるとなんかダサいというか、どこかで聞いたようなというか、なんかベッタベッタなものになっちゃう。

 

それにね、タイトルって大事だと思うんです。有名な作品って、やっぱりタイトル覚えやすい。推理小説とかも結構カッコよくなってきて、(講談社文庫のミステリ関係の表紙はダサいけど。お前のことだ、有栖川火村シリーズ!!※個人意見)覚えやすいもの増えてますね。

どれも微妙に古いけど「容疑者Xの献身」「Nのために」「暗いところで待ち合わせ」とか結構好き。いっぱいある。〜殺人事件みたいなのもレトロでグッときますけども。

 

そのほか、ミステリじゃなかったら、もうそれこそ覚えやすいのいっぱいですよ。で、私が思ったのは素敵なタイトルの大きな特徴は

 

「どんな話か、いまいち想像がつかないこと」

 

だと思うんです。だって、ピアノコンクールを描いた作品が「蜜蜂と遠雷」ですよ?え??養蜂場で育った純朴な少女と都会でヤクの取引に巻き込まれ命からがら養蜂場に逃げ込んできたチンピラ青年の交流と愛を描いた青春ロマンスじゃないの??!

ってなりませんでした??(ならんか)

 

タイトルと、帯の組みあわせってすばらしいもので、

帯に書かれた簡単なあらすじとタイトルの妙な「ずれ」が読者を引きつけるんですよね・・・。これは、同人でも例えばイベント前に目を皿のようにして、舐めるように読むPixsivの「サンプル」にはキャプションと本文の一部が乗る。

これと、タイトルに若干の「ギャップ」があると、おや??と思ってもらいやすい気がします。

 

しかし、焦ってると本当にそんなこと考えられなくて

「桜の下で君にプロポーズ」とか「カツキユウリくんがビクトルに素敵なお誕生日プレゼントもらってそれを感じたモブがしんみりする話」みたいなタイトルになっちゃうんですよ!いや、それでも読みたいけど。普通に!

(※ただし、イラストの表紙や漫画だと逆に、タイトルがある程度内容を予測しやすいものだとものすごく映えるんですよね。多分それは表紙に内容をしっかり予測させてくれるエッセンスが散りばめられてるからだと思います。ああー、切ないすれ違い系なのね!とか、ああ、ラブラブコメディ系ね!!でも、それだけなのかしら????!みたいな。安心感とワクワク感で、500円玉があっという間になくなる。)

 

 

凝った表紙は難しい

でも、ぜひ記憶に残して興味を持って欲しい。

そんな限られた時間で、タイトルを考える時、私が気をつけていることいくつかご紹介します。

 

1、登場人物のうち、「誰」の感情に焦点を当てるか

まずはこれ。カプものだったら、最低限2人以上の主要登場人物が出てくるかと思います。その「誰」の感情に焦点を当てたタイトルか、を決めます。「誰視点」でタイトルをつけるか。当たり前なんですが、これ意外と焦ってる時忘れがち。まずがっちり決めた方がいいです。(もちろん神視点でもいいです)

 

2、物語に出てくるアイテムワードを書き出しておく

 これは推敲の際にやっとくと便利なんですが、自分が書いた作品の中に出てくるエッセンスを書き出します。例えば、二人が初めて同棲した夜にいったのがコンビニだったら「コンビニ」。そこで買ったのが「バニラアイス」だったらそれも。「甘い」とどちらかが呟いたならそれも!!同棲を2年した後解消し、故郷に帰ってしまった受けを、攻めが追いかけるなら「二年」という・・・・(際限がない。1本書けそう)無尽蔵に抜き出すといけないので、「もの」「感情」「風景・情景」「動詞」を数点づつ、を意識しましょう。短編は全体から抜き出してもいいけど長編だとどえらいことになります。ので、長編の場合は、自分的に「ここ!」と思うワンシーンや章からピックアップを。

 

3、メインテーマを具体的に表すキーワードは入れない

 さて、さっきキーワードを抜き出しましたが、実際使うとき注意したいのがこれ。例えば推しのお誕生日を寿ぐ小説には「誕生日」「ケーキ」「お祝い」「生まれて」などのワードを入れない。入れた上での素敵なタイトルはいっぱいあるんですが

(それはもうたくさん!)これを入れてしまうと選択肢が増えすぎて、混乱しがち。なので、あえて省き(封じ)選択肢を狭める方がいいです。(時間がある時は思いっきりキーワード入れまくりのタイトルを考えます)

 

 

4、短歌を参考(意識)にする

いきなりなんだ、と思うかもですが短歌を作る気持ちで作ると、タイトルがちょっとかっこよくなる。(気がします)最近ツイッターで見て、「ああ」とくずれおちた短歌があって

 

ほんとうにあたしでいいの?ずぼらだし、傘もこんなにたくさんあるし

(岡本真帆様作品)

ツイッター:まほぴ様 @mhpokmt)

 

いや、これ。素晴らしいね・・・情景が思い浮かびますよね。家に来たと思ったら突然のプロポーズ。もう動揺してテンパって、いうに事欠き玄関にある何本もあるビニール傘をさして、私ズボラだし、ほらみて。この前もまた傘買っちゃって、ね、いいの?と言いながらでももうすでに「イエス」の気持ちがこもった涙を浮かべる女性の姿が!もうさ、これで小説1本かけるよね??ね??最高では??天才では??日本女性の豊かな感性と文才万歳、紫式部清少納言ありがとう!!!!!!ハレルヤ!!!!!!

はあ。この短歌の中の二人、この可愛らしい女性に幸あれ。

 

はあ。息切れしそうになった。いや、でも、これだけでタイトルになりますよ。3の法則から外れようと思ったら「(ズボラだし)傘もこんなにたくさんあるし」の部分だけにしてもいいのではないかと!(勝手にすみません、あくまで例です)私でいいの?の部分でプロポーズを予測させちゃいますからね。

 

というわけで、短歌を意識します。もちろん、いきなり短歌?というのも難しいので、2で選んだキーワードをとにかく繋いで短歌っぽく(57577)にしてみる。それだけでなんか、ぽん、と浮かびやすくなります。長くなりすぎるので、あとはこれを「内容を予測させないように、短く」削る。これでグッとかっこよくなる気が。

後、もちろん短歌に触れとくといいかなあ、と思います。私も全く興味がなかった(無教養で申し訳ない)のですが、見ているうちに、グッとくるものが多いなあと、余白と文才のミラクルコラボレーションだなあ、と思いまして。最近少しずつ短歌集を買うようになりました。有名どころをぱらぱら、と見るといいトレーニングになる気がします。現代の女性のものがオススメ。とっつきやすい。

 

こんなやつ。超有名どころ。

俵万智「サラダ記念日」

http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309024882/

 

私が好きなやつ。

加藤千恵「ハッピー☆アイスクリーム」

https://www.amazon.co.jp/dp/B00CRCKJVO/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

 

みずみずしい。ただただみずみずしい。短編小説も収録されててこれもまたよい。

 

山川彌千枝 「薔薇は生きてる」

https://www.amazon.co.jp/薔薇は生きてる-山川-彌千枝/dp/4434114778

 

永遠の名作。乙女心補給に読むべし。

 

 

後は書店の短歌集コーナーとかどうでしょうか?カバンに忍ばせてちらちら、と読むといいリラックスになるし「うまいこというねえ!」という感動がいっぱいです。

 

5、ユーミンは神。言い換えの魔法

なんじゃそら、ですね。でもこれは大事(だと思う)。ソース不明なうろ覚えなのですが、「ユーミンの歌詞は”言い換え”が素晴らしい」んだそうです。(ユーミンの歌、おしゃれで素敵ですね。若い子も聞いてみてね!)多分、3の法則にかかるんだと思うんですが「言い換え」ることで、イメージを限定しすぎない「余白」が生まれて、想像力を掻き立ててくれるのかなと。

例えば、「ショートケーキ」という単語をそのまま使うのではなくあえて「スポンジ、クリーム、いちご」と分けてしまうとか、もっと極論「甘くて柔らかい」とか。やりすぎると意味不明になってしまうのですが、あくまで一部「言い換え」ができるといいかと思います。日本語の部分を英語にする、とかでもいいかもしれません(やりすぎるとルー大柴化するので注意です)

 

さて、ざっとこんなところです。ただ、正直タイトルの案が全く、全く持ってまっさら状態って方はあまりいないと思います。なんとなーく、作中にキーワード的なものもあるし(二人を繋ぐものとか、出来事を象徴する場所だとか、ね)切ない感じ出したいし、都会を舞台にしたから「アーバン」な雰囲気出したいし、と「材料」と「イメージ」はあるんだと思うんです。なんなら「だいたいの形」はできてる。だって自分で書いたのだから!ただ、もうひと押しでまとまらない。

 

なので基本的には

○小説書き始め

1を意識しつつ、2を進める。書きながら2を意識してキーワードを拾っていく(もしくは作品の中に混ぜ込んで行く)。わざわざメモ帳に書き出さなくとも、意識するだけでも効果あります。

 

○書き終わり、タイトル考え始め

さて、情熱の限りをぶつけたあとはまずコーヒーでも入れて作中のキーワードを整理します。(私はこのときなんとなく紙に書き出したりもします)ここで3を意識し、直接的なキーワードは外します。スーパーダイレクトなものだけね。で順番前後しちゃいますが同時に5を意識。ちょっと内容が予測できそうなキーワードの言い換えを考えてみて、いいのが浮かべばタイトルに入れ込む候補にします。

 

○タイトル決定

最後に4を意識しつつ、単語を並べてタイトルを作ります。個人的に短くかっこいいのをつけたいところですが、私の今紹介したやり方だと、長めになりがちな気が・・・

短いのが思いつくときって、もうなんかバシッと一瞬で決まる気がする。そういう時はもう、ただただ神に感謝するのみ。

 

 

ちなみに上記の考え方でつけたタイトルを恥ずかしいながら紹介。

「24時クロコダイルが甘くて苦い」

 

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=7549881

 

ユーリ!!!on iceの二次創作小説です。主人公の勝生勇利が男子フィギュアスケーターで、ロシア人の伝説的選手ヴィクトル・二キフォロフをコーチに迎え、シーズンで奇跡的な成長を遂げていく。というアニメ。(ネタバレになってるかな?ぜひみて欲しい。今度、レビューとか書いてみたい)

 

で、上記の作品は主人公のお誕生日記念にUPしたもの(そういう文化があるんですよ)。視点はオリジナルで創作した、主人公のファンの女性たち視点でした。

 

お話は単純に書いてしまうと、主人公の誕生日を勝手に祝っていたファンの女性たちが、彼のSNSをのぞいて誰かからお誕生日プレゼントをもらったらしいと知り・・・という短い話です。

 

なので誕生日、のお話であることはぱっと見わからず、でも、読んだ後にああ、なあるほどと思ってもらうべく「24時」というキーワードを選びます。

その後に続く「クロコダイル」は、プレゼントとして登場する時計のこと。クロコダイルを使った高級時計が出てくるので、時計、ではなく「クロコダイル」に言い換え。初見ではなんでワニ?となりますが、読んでもらうとああ、時計のことか。とわかってもらえます。(といいな!!)

最後の甘くて苦いはぶっちゃけ「えー!!!なんか切ないけど勇利くんこれからも超絶推す!!!」の気持ちを言い換えただけです!!!でこれを並べて、タイトルにしました。(他にも候補キーワードはあったのでつけたり外したりしつつ・・・)

 

こんな感じです。いや、このタイトル全然おしゃれじゃない!という批判はもちろん受け入れます・・・あくまで当社比ということで何卒・・・!

 

ほんの少しでも役立ったら嬉しいです。

タイトルを褒めていただけることがたまにあって嬉しくなって書いてしまいました。

質問などもしあったらツイッターの方でもここでも、ぜひ。

(全てをなぞることは稀で、1〜5のうちのどれかを行き詰まった時に試す、という感じです)

 

最近同人イベントがなくて悲しい。

学生でも、社会人でも、妻でも、母でも、女でもなんでもない「私」として表現できる場、守っていきたいもんです。この場を借りて、同人の世界を通して仲良くなってくれたチャーミングなお友達みんなありがとう。

 

 

で、後ほど、めちゃ簡単ですが表紙編も書けたらな。

あ、あとメイク体験編の後編もアップします。書いただけで放置していたんです。すいません・・・